高血圧症予防のポイント

高血圧症は日本人に最も多い疾患で、65歳以上では半数以上が境界域以上の高血圧症と診断されています。高血圧は、脳卒中、脳血管性認知症、心筋梗塞の最も一般的な危険因子で、「寝たきり」や「認知症」というQOL(生活の質)の低下に結びつきます。しかし、自覚症状がないため、血圧が高いと知りつつ、放置している人が多いのです。そのため、症状を悪化させることが多く、「サイレントキラー(静かなる殺人者)」ともいわれます。

高血圧の予防

高血圧を防ぐ10箇条

  1. 塩分をとりすぎないこと。1日10g程度を目安に気をつけましょう。
  2. 野菜や果物をとり、カリウムを補給しましょう。カリウムはミネラルの一種で、余分なナトリウムの排出を促進します。
    (腎障害のある人は除く)
  3. 肥満は大敵。栄養配分に注意しながら標準体重に近づけましょう。
    ●標準体重=身長(m)×身長(m)×22
  4. 運動不足は高血圧の原因。軽く汗ばむ程度の速足歩きなどを1回につき1時間、週2から3回行いましょう。
    (高齢者や重症患者は医師の指示に従って行う)
  5. 不規則な生活は改めて休息や睡眠を十分とり、リラックスを心がけてください。
  6. アルコールやコーヒーなどの嗜好物はとりすぎないこと。
    また、タバコは血圧を上げます。禁煙が大切です。
  7. 動物性の脂肪を控えて、魚を多くとるようにしましょう。
  8. 急激な温度差を避けるため、寒い日の外出や風呂場の脱衣所の保温に注意してください。
  9. 熱いお風呂は血圧の変化を招くため、37から40度のぬるま湯に入るようにしましょう。
  10. トイレでりきむと血圧が上がるため、便秘をしないようにして必要以上にりきまないこと。

高血圧症の誘因と予防

高血圧は遺伝するといわれています。両親とも高血圧体質だと、その子供に高血圧が発症する頻度は高く、遺伝的な因子のかかわりは強いといわれています。しかし、日常生活を注意することにより、発症を未然に防いだり、遅らせることができます。高血圧症の予防の第一は、食塩を減らすことです。

1gの食塩に相当する調味料の量

1gの食塩に相当する調味料の量

血圧とは

血圧とは、心臓ポンプ作用(収縮と拡張)によって送り出された血液が、血管の壁に与える圧力のことをいいます。すなわち、次の関係が成り立ちます。 ※ 血圧≒心拍出量×血管抵抗 ※ このほかに、循環血液量、血液粘稠度、大動脈の弾力が関与します。血圧は日常生活のさまざまな刺激はもとより、生体リズムの影響で、常に変動しています。夜間の睡眠からめざめると交感神経が活発になって、血圧は上昇し始めます。早朝は心臓へ入る血液量が少ない上に、血液が粘っこい状態のため、狭心症や心筋梗塞の発作や脳卒中がこの時間帯に起きやすくなります。また、日常の生活の中でも、動作により血圧は簡単に変動します。

1日の中での血圧の変化

1日の中での血圧の変化

血圧値の診断と分類

血圧は、最高血圧/最低血圧が140/90mmHgを境にして、高血圧と正常血圧が分けられます。重症高血圧 (180/110mmHg以上)では、放っておくと、脳卒中や心筋梗塞を併発する危険性が非常に高くなります。

更年期に発症する症状と発症期

血圧値の分類

血圧値の分類
  収縮期(mmHg) 拡張期(mmHg)
至適血圧 <120 <80
正常血圧 <130 <85
高値正常血圧 130~139 85~89
軽症高血圧 140~159 90~99
(境界域) 140~149 90~94
中等症高血圧 160~179 100~109
重症高血圧 ≧180 ≧110
収縮期高血圧 ≧140 <90
(境界域) 140~149 <90

高血圧と合併症

高血圧を放っておくと脳卒中や心筋梗塞、腎臓病など様々な病気の引きがねとなります。塩分を控えた食事や適度な運動など、日常の生活習慣を改善することで、高血圧やそれに伴う合併症が予防できます。

高血圧と合併症